読者依存シンドローム
ブログも本も「ブラームスの辞書」は譜例が乏しい。ブログでは少ないどころか譜例が無い。これは半ば私のテクニックのせいだ。本においては400ページで173箇所だ。2ページに1箇所にも満たない。こちらはテクならぬ予算のせいだ。
音楽解説関係の書物には不可欠の譜例が無いまま、ディープなブラームスネタを展開しているということになる。無念の措置であることは既に何度か述べてきたが、私の中では既に腹がくくれている。理由はシンプルだ。読者が既に楽譜を持っていることをアテにしているというわけだ。入門書ならば失格だ。少なくとも望ましくはない。
今は後悔していない。ブラームスの入門書であることは諦めている。日ごろから楽譜に接し、楽器に接しブラームスの作品に楽譜からアプローチをしようとする人々のための本であり、またブログであるのだ。炎上覚悟で申せば、ネット検索一発で、差し迫った宿題をクリアしようというニーズには答えぬのが愛情というものだ。
もちろん、先に「ブラームスの辞書」に刺激された読者が、後から楽譜を買いに行くというのも、著者冥利ではあるのだが、それとて読者の持つ楽譜をアテにしている点は同じである。さらに言うなら「どこそこの曲の、第~小節目の、かくかくしかじかの旋律」と記述しただけで、頭の中で「ハハーン」と旋律が思い浮かんでいる人と一献酌み交わしてみたいのだ。
「曲も聴かせず、譜例も見せず」は既にトレードマークと化している。いわゆる「開き直り」である。
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