ライミーズ計画
フランスのマジノ線に対抗してドイツが独仏国境に敷設した要塞線の建設計画のことだ。1940年までにおおよそ完成し、ドイツでは「Westwall」と呼ばれた。「西の壁」だ。ドイツ伝説の英雄の名をとって「Siegfriedlinie」ともいう。
バーゼルからルクセンブルクまでちょうどマジノ線とにらみ合う形で作られたが、マジノ線よりは数段簡素だった。戦闘に際しての効果よりも宣伝効果の方が高かったといわれているほどだ。対仏開戦不可避の機運が高まるこの時期、独仏が直接国境を接するこの地域を、戦略的に重視していることを印象付ける効果があった。
この要塞線の建設計画が「ライミーズ計画」だ。スペルを調べていてぎょっとした。「Limes」だ。「Limes」はローマ人が対ゲルマン民族の国境警備のために敷設した防御柵のことだ。これをローマ風に「リーメス」と読まずに英語風に「ライミーズ」としたことが既に宣伝効果を狙ったものだとわかる。建設の前年まで本物のリーメスの遺跡発掘調査が行われたいたことを巧妙に利用した。大規模な要塞工事を発掘調査でごまかそうという意図が明白だ。偵察衛星の無い時代はこれで十分だったのだ。
そうしておいて、ドイツ機甲師団は、マジノ線を迂回してベルギー経由でフランスに殺到した。
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