アルミニウス
Arminius(BC16~AD21)は、ゲルマン民族の一派ケルスキー族の王。ケルスキー族の本拠地は現在のデトモルトのあたりとされている。ブラームスの最初の就職地だから、ケルスキー族の話くらいはきいたことがあるかもしれない。
アルミニウスの親の代以前にローマに屈服したこともあり、当時の習慣としてローマで教育を受けた。シリアでの勲功により騎士に列せられるとともにローマ市民権を獲得した。市民権の獲得には皇帝の同意が必要だから、アルミニウスの器量がうかがい知れる。当時の皇帝はアウグストゥスだ。
やがてゲルマーニアの司令官ヴァルスの信頼厚い部下となるが、ゲルマーニアの属州化の意図を知り謀反。ヴァルスの信頼を逆手にとって巧妙な罠を仕掛け3万のローマ軍を全滅させた。世に名高い「トイトブルクの戦い」だ。ローマ人からゲルマンの独立を守ったと評価され、ドイツにおいては英雄視されている。
アルミニウスという名前はいかにもラテン語風だ。彼の名は元々「ヘルマン(Hermann)」だったのを、ローマ人が勝手にラテン語風に言い換えていたとも伝えられる。宗教改革で名高いルーターは、アルミニウスに心酔し時代の辻褄を無視して、アルミニウスに「Hermann」という洗礼名を与えた。民衆への布教にアルミニウスのカリスマ性を利用しようとしたらしい。
さて1775年、ドイツ帝国成立の4年後、デトモルトにアルミニウスの像が建立された。トイトブルクの合戦の勝利を記念するものだ。当時はトイトブルクの正確な位置が解明されておらず、ケルスキー族の本拠と目されたデトモルトに建てられたという経緯がある。
デトモルトに着任したブラームスは当然この像を見ていたはずだ。
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