交響曲ハ長調
リヒャルト・ワーグナー現存する唯一の交響曲。弱冠19歳の作品。
ホイベルガーはこの作品についてのブラームスの見解を証言している。音楽之友社刊行の「ブラームス回想録集」第2巻53ページだ。「ここからあのワーグナーが生まれるとは驚きだ」というものだ。
示唆に富んだ証言である。19歳の若書きにしては良く出来ているというニュアンスと、後年の楽劇群に比した落差の大きさも言い現していると感じる。同時にメンデルスゾーンの態度にも言及している。メンデルスゾーンは楽譜をちょっと見ただけで何も言わなかったらしい。曰く「メンデルスゾーンも忙しかったのだろう」だ。
同交響曲の自筆スコアは、現在行方不明だ。1833年ライプチヒ・ゲヴァントハウスの演奏会で取り上げられた時に紛失したという。このときゲヴァントハウスの指揮者だったメンデルスゾーンが何か事情を知っていた可能性は高いが真相は闇の中だ。ブラームスがメンデルスゾーンに言及しているのは偶然とは思えない。
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