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2016年10月21日 (金)

改宗

重い言葉だ。信じる宗教を変えることだ。本来信仰は自分の自由な意思の現れだから、変えるのは自由なのだと思うが、現実にはそうも行かない。特に改宗が弾圧の結果であるような場合、本人の意思に反する改宗が起こり得る。

音楽史をひもとけばメンデルスゾーンの場合が有名だ。ユダヤ教からプロテスタントへの改宗とともに彼の名前の末尾にバルトルディが付加されることになった。グスタフ・マーラーもユダヤ教からカトリックに改宗した。

グスタフ・マーラーは、作風から申せばいわゆる「ワーグナー派」だった。ブラームスに対するマーラーの評価にそれが反映されている。皮肉なことにワーグナーの現した「音楽におけるユダヤ性」に代表される反ユダヤ主義の影響か、マーラーのウィーン宮廷歌劇場音楽監督への就任を妨げる。おそらくメンデルスゾーンが生前そして死後に受けた困難と同質だと思われる。

1893年マーラーはイシュルにブラームスを訪ねた。理想とする音楽の違いは承知の上で、ブラームスに援助を求めたのだ。ブラームスは音楽性・作風の違いを超えて協力を約束する。

ブラームスのことだから、影響力を駆使して調整を試みたとは思うが、結局マーラーがウィーン歌劇場の音楽監督になるのは、カトリックへの改宗後だった。

私にはいささか荷が重い話題。

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