マルトゥッチ
ジョゼッペ・マルトゥッチ(Gieuseppe Martucci)1856-1909はイタリアの作曲家、ピアニスト、指揮者だ。オペラ一辺倒のイタリアの風潮に異を唱えたことで知られる。教育者としても名高くナポリ、ボローニャで教鞭をとった。
1888年5月旅行でイタリア・ボローニャを訪れたブラームスをマルトゥッチが表敬訪問した。このときの旅のパートナーであるヴィトマンの証言だ。マルトゥッチがイタリア語まくしたてるので当初は通訳が必要と思われたが、やがて意気投合した二人は通訳を必要としなくなった。マルトゥッチはこのときまでのブラームスの室内楽を全部暗譜していたらしい。主題を次から次へと歌ったのだ。ブラームス自らも歌いだし通訳が不要になったと証言されている。
このときまでに出版していた室内楽は18曲。ヴァイオリンソナタ3番と弦楽五重奏曲第2番、そして一連のクラリネット入り室内楽だけが未出版だ。18曲を暗譜していたとは素晴らしい。暗譜はしていないが、作品の主題を歌うだけなら私にだって出来る。これに交響曲、協奏曲を含めても歌える。
生涯に8回あったイタリア旅行は、必ずパートナーを連れて行った。それも音楽家ではない人物を選んでいる。旅行先で演奏をしたことは一度もないし、コンサートに出かけた記録もない。つまりイタリア旅行はブラームスにとっての息抜きなのだ。興味の対象は主に美術と建築だったらしい。だからこのマルトゥッチとの会見は異例である。
2人の歌合戦を聴いてみたかった。
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