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2016年11月15日 (火)

定石とひらめき

将棋が好きだ。もっぱら観戦だけだけれど好きである。81マスの宇宙で繰り広げられる読み合いが面白い。先手側の初手のケース、駒の動かし方は30通りの可能性がある。歩は各1通りで角や桂馬は初手に関しては打つ手がない。この調子で数えると可能性としては30通りになるのだ。現実に打たれるのはこのうちの2種が圧倒的である。飛車先を突くか角道を開けるかである。このほかの28種類はあまり選択されない。後手にとっても初手の条件は同じだ。先手が打った手を加味するが種類としては30からの選択だ。

大げさに言えば初手から投了まで全ての局面で、プレイヤーは全ての可能性から1つを選択しているのだ。とはいっても各々の局面でいちいち全ての可能性を吟味するのは大変だ。持ち時間は無限ではない。そこで思考の節約、時間の節約のためにあるのが定石、あるいは手筋なのである。「どうしたら勝てたか」あるいは「どうやったら負けたか」についての経験則の積み重ねを体系化した代物と言い換えてもいい。

さて作曲に話を移す。誤解お叱り覚悟で極論を申し上げる。作曲とは詰まるところ、無限の可能性の中から次の音を決定する作業だ。決定の対象は「音の高さ」と「長さ」である。どの楽器に弾かせるか、テンポをどうするか、アーティキュレーション、音のニュアンスをどうするかは最後の仕上げに過ぎまい。将棋指しならぬ作曲家が次なる音を決定する際にも定石が存在する。「和声法」「対位法」「管弦楽法」と呼び習わされている。

肝心なこと。将棋名人ほど定石とひらめきのバランスが絶妙だということだ。完璧に定石通りに指しても負けては仕方かが無い。相手棋士も定石を知っている訳だから、最後に雌雄を決するのは裏のかきあいだ。本当の勝負所でものを言うのは定石ではなくひらめきだというケースもあるらしい。ひらめくかどうかは、経験と天性だ。

楽典をはじめとする音楽の様々な定石を完璧に守ったつまらぬ曲が存在するのと似ている。決まりを完璧に守り通しても名曲になるとは限らない。「名曲」という概念は勝ち負けに比べれば数段曖昧な概念だが、クラシック音楽として淘汰されずに残った作品を「名曲」つまり勝ち組と位置づけてもいいだろう。どうすれば耳に心地よいかという経験則の積み重ねが楽典をはじめとする諸ルールだが、勝負所では耳が頼りなのだ。

定石とひらめきの違いは意外と簡単だ。「定石」は勉強することで習得出来るが、ひらめきは多分に天性である。ひらめかない奴がいくら勉強してもいっこうにひらめかないらしい。

さてさて定石とひらめきのバランスと申し上げたが、はたしてどれくらいの比率が理想なのだろう。これには決まった答はない。「ひらめき100%・定石不在」の名作もあり得る。強いて言えば「ひらめき不在・定石100%」という作品は勘弁願いたい。ブラームスも「霊感無しには1行も作曲すべきではない」と言っている。

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