姉の嫁ぎ先
フランツ・ヨーゼフ1世の見合いがとんだサプライズだった話は既にしておいた。見合いの相手は姉ヘレーネだったはずだが、フランツィは妹のエリザベートに一目惚れだった。姉のヘレーネだって器量自慢だったと伝えられている。実際結婚となったエリザベートの美貌は、周知の通りだから、ヘレーネだって相当なモンだと考えられる。
エリザベートのシンデレラストーリーの割を食った姉の心中察すると切ないものがある。皇太子本人の気紛れとはいえ、当時は家対家のつきあいだから、ハプスブルク家は相当気まずかったと思われる。
その姉ヘレーネが嫁いだのが、タクシス家だ。もちろん貴族なのだがやや風変わりでもある。もともとはタッシス家というイタリアの家柄だ。15世紀にマクシミリアン1世が、帝国の書簡の集配を委託して、郵便事業に手を染めた。やがて民間郵便にも参入し、事業の独占と世襲を認められ、大財閥の様相を呈するに至る。
近代に入ると郵便の重要性は増し、オーストリア、プロイセン、スイス、イタリア、チェコ、ハンガリーにまたがる事業網を、次々と諸国家に売却し巨万の富を得た。
皇后エリザベートの苦難を考えると、姉の人生も悪くないのではと思えてくる。
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