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2017年1月 7日 (土)

兄弟の分担

グリム童話の編集刊行について兄弟の間の業務分担はどうなっていたのだろう。さまざまな資料からうかがい知ることの出来る彼らの業務分担はおおよそ下記のとおりだ。

  • 長男ヤーコプ 民俗学的見地に立った厳密で広範な収集。
  • 次男ウィルヘルム 過剰な脚色の排除と文学的味わいの両立。
  • 五男ルートヴィッヒ 挿絵。

長男ヤーコプの収集した原稿が今世紀に入ってアルザス地方の修道院で発見された。それと1812年刊行の初版との比較から様々なことが判明した。印刷されたものは、ヤーコプが聞き取った結果そのものとは違っている。ヤーコプの原稿では方言がそのままであったりしたものが、刊行されたものはシンプルな標準ドイツ語になっている。教訓めいた話にならぬよう細心の注意を払いながら、文学的味わいが付与されてもいる。

長男は後日、童話集の刊行について弟の文才によるところが多いと誉める一方。弟は兄さんでなかったらこれほどの質量をもった話を集められなかったと言っている。

文献学的民俗学的な見地から、周到で厳密な手法を用いて数多くの民話を集めたのが兄で、それらに文学的な味わいを付与したのが弟だと捉えてよさそうだ。

こうした兄弟の役割分担をよく見ると、民謡に対するブラームスとエルクの立場の違いを思い出す。文献学的厳密さで民謡を収集したのがエルクだったのに対して、ブラームスはこれに異を唱え、民謡に芸術的価値を付与強調した。グリム兄弟で申せば、兄がエルクでブラームスは弟にあたる。

グリム童話が今尚世界的に愛されている原因をこのあたりのバランスに求めたい。2人が争えば論争になりかねない状況でありながら、学問としての厳密さと文学としての味わいが絶妙なバランスで均衡していると見た。

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