ドイツ伝説集の下巻
グリム兄弟が著した「ドイツ伝説集」は面白い。家庭への浸透度という面では、「グリム童話」に一歩譲るが、最近ドイツネタに浸りきっている私の脳味噌にとっては、伝説集の方が興味深い。とりわけ下巻だ。様々な歴史的伝説が200篇以上収載されている。
ザクセン族、フランク族などおなじみの民族の起源が次々と語られる。何よりも人名、時期が具体的になっているのがありがたい。タキトゥスやシーザーなどローマ人の著述とはまた違った味わいがある。カール大帝やオットー大帝など英雄たちのエピソードも豊かで飽きない。
記述の中に「今」という言葉が現われると、グリム自身か訳者が、「ここでいう今はいついつのことである」と必ず注釈してくれるのも徹底されていて気持ちがいい。
何よりも何よりも地名が具体的なのがありがたい。地名の起源を説明した話がそこここに現われる。鵜呑み厳禁と肝に銘じながら読んでいても、ついつい引き込まれる。
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