あとがき
漢字で「後書」あるいは「後書き」と標記する例をあまり見かけない。書物の末尾に置かれ、本文と別立ての文章のことだ。大抵は著者によって書かれる。本文中での書き残しの捕捉であったり、エッセイであったり内容は様々だ。出版にあたって関係者への謝辞が盛り込まれることも多い。
初めての自費出版本「ブラームスの辞書」にも「あとがき」がある。最後の項目に続いて2ページがあとがきに割かれている。「ブラームスの辞書」は何を隠そうこの「あとがき」が最も読まれているらしい。入手後真っ先に読まれるのもあとがきだ。
オタクな本を書いてしまった理由を知りたい向きや、著者の顔が見たい層は、きっとこのあとがきを見るのだと思われる。パラパラと本文を斜め読みして「だめだこりゃ」と感じた読者の多くは、あとがきだけを読んでお蔵入りさせているような気がする。
あとがきの役割は執筆中に痛感していた。オタクな本を書いてしまった言い訳に手際よく言及しなければならないと。そこには私の略歴に加えて、執筆の動機が書かれている。実は内心とてもよく書けたと思っているのだ。
ささやかな決意を一つ。ブログ「ブラームスの辞書」には「あとがき」があり得ないということだ。
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