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2017年5月21日 (日)

ドイツを切る

ドイツの諸方言についておおよその分布状況をおさえておく。毎度毎度の大雑把な話だ。

ドイツを南北にやや縦長の長方形だとする。一番上の辺の中央部が少し凸状になっている。凸部はデンマークとの国境地帯を形成する。東西を形成する縦辺にはくびれがある。東のくびれは真ん中よりやや南によったところ。このくびれは東からチェコが割り込んできたようになっている。西のくびれはもっと南だ。東より小さなくびれに割り込むのはフランスで、古来アルザスと呼ばれている地域だ。この東西の両くびれを結ぶ線、つまりドイツのウエストラインをよく覚えていて欲しい。左下がりのウエストラインになる。持つとしたらここがいい。

2月6日に言及した「ベンラート線」が方言分布上の北部と中部の境界と考えていい。南部と中部の境界線こそがこのウエストラインだ。中部と北部の差よりは違いが大きくないが、やはり重要だ。ほとんどマイン川の流れと一致するがマイン川は大きくうねっているので例外も多くてややこしくなる。大雑把な理解でよいならウエストラインで十分だ。

<低地ドイツ語>3分割したドイツの一番北側。ベンラート線以北のドイツで概ね以下のように東西に2分割して考えられている。第2次子音推移を受けていない。

  1. 東低地ドイツ語 メクレンベルク・フォルポムメルン州とブランデンブルク州で、ベルリンもここにはいる。本当はさらに5つ程度に細分化されている。
  2. 西低地ドイツ語 ニーダーザクセン州、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州。ここもさらに5つ程度に細分化が必要。ブラームスの故郷ハンブルクはここに入る。

<中部ドイツ語>ウエストライン以北でベンラート線以南。西寄りほど北の影響を受け、東寄りほど南の影響を受けた。

  1. 西中部ドイツ語 ライン扇状地によってさらにおおよそ3分割される。
  2. 東中部ドイツ語 さらに3つに分けられるが、そのうちの一つザクセン語が、現在のドイツ標準語の母体となった経緯がある。

<南部ドイツ語>ウエストライン以南で、スイスやオーストリアまでも包含する。

  1. バイエルン語 フランケン地方を除くバイエルン州。オーストリアのドイツ語の母体にもなっている。
  2. シュヴァーベン語 シュヴァーベン地方の言葉。
  3. アレマン語 バーデン地区やアルザスで用いられている。スイスのドイツ語もこの系等に属する。

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