ヴェンカー
Georg Wenker(1825-1911)という言語学者がいる。近代ドイツ方言学の始祖と位置付けられている。民謡におけるエルク、民話におけグリム兄弟に比肩する業績を残した。ドイツ全土およそ40000の学校施設に向けて。40の文例を送付した。地域による語彙、文法の違いをより明らかにするために練り上げられた40の短文で、現在では「ヴェンカーの文例」と呼ばれている。これらの短文を各々地域の言葉に翻訳して送り返させるという手法で、方言の分布を白地図上にプロットしたのだ。
この空前の実験により言語地理学という領域が切り開かれた。ドイツ方言の諸相がヴィジュアル化されていっそう議論が深まることとなった。
独和辞典の末尾には大抵方言の分布図が掲載されている。それには何らかの形でヴェンカーの言語地図が反映している。
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