広く浅く
一つのことをとことん突き詰めて研究している人がいたとする。そういう人の前で謙遜の意味を込めて「私なんか広く浅くですよ」と口を滑らせてしまった経験がある。失礼な話だったと後から冷や汗である。
あなたは「狭く深くですよね」というニュアンスが言外ににじみ出る。「深く」はいいのだが、「狭く」はいただけない。「あんたの視野は狭いですね」が万が一にもニュアンスとして勝ってしまってはいけないのだ。先のシチュエーションでいうなら「私なんか狭く浅くですよ」と言わねばならないのだ。ところが世の中の慣用句として「狭く浅く」はあまりなじみがない。
「広く深く」を目指して日夜努力をしているとしても自分への戒めとして使うなら「狭く浅く」と使うよう心がけたいものだ。自分を称して言うならそれが慣用句だとしても「広く」は後ろめたい。たとえ話題がブラームスであってもである。
スペシャルコンサートまであと10日。
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