フランスの右肩
フランスという国は正六角形にたとえられる。上下に頂点を持つ正六角形だ。パリは中央やや北寄りにある。不思議なことがある。六角形を構成する6つの頂点付近に方言が色濃く分布する。
- 一番上の頂点にはフラマン語がある。ベルギーの公用語でもある。
- 反時計回りに左上の角にはフルトン語だ。ノルマン系の言語。
- 左下にはバスク語。スペインとの国境を形成するピレネー山脈の北端付近。
- 一番下にはカタルーニャ語。バルセロナ付近の言葉だ。
- 右下には海を隔てたコルシカ島のコルス語がある。
- 右上、右肩にあたるところにはアルザス語がある。
アルザス語はドイツ系の言葉で、ドイツ方言の一つに数えられている。アルザス地方は古来、独仏の領有権争いのタネになってきたから、このあたりの住民はフランス語とアルザス語のバイリンガルという人が多い。中央から遠く離れた僻遠の国境地帯に方言が豊かに蓄積するのは何もドイツだけではないということだ。
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