線マニア
ドイツ方言を調べていると、膨大な数の分布図に遭遇する。そこには方言の境界線がさまざまな線によって表現されている。ベースにあるのはドイツ語圏の地図で、そこにさまざまな線が引かれている。国境線や州境線がまずもって目に付く。ライン川エルベ川などの河川なども目立つ。国境や州境と重なっていることも少なくない。たとえばオーデル・ナイセ線という言葉さえある。ドイツとポーランドの国境をオーデル川とその支流のナイセ川と定めたという話だ。道路や鉄道まで含めた目に見える線が、方言分布の境界線になっているだけならよいが、話はそう単純ではない。
先頃紹介した「ベンラート線」が良い例だ。州境はもちろん河川や山地とも一致しない。昔の国々の勢力範囲や、河川の流路変更など今は見えなくなった線を探さねばならない。様々な資料中のドイツ地図に示された線が、方言の境界線と一致していやせんかと目を皿のようにしている。
つまり「線マニア」とは私のことだ。
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