民話と方言
グリム兄弟が編集した「家庭と子供ためのメルヘン」は通常「グリム童話」として親しまれている。そこには兄弟のきれいな業務分担があった。兄ヤーコプは厳格で広範な情報収集にあたり、弟ウイルヘルムは、芸術的な味付けをした。
アルザス地方の修道院で兄ヤーコプが収集した童話の原稿が発見された。刊行済みの「グリム童話」と比べることで2人の分担振りが一層明らかになった。ヤーコプが収集した原稿にはさまざまな民話が方言で記されていたのだ。グリム童話は平易な標準語で書かれているから、方言を標準語に変換したのは弟の仕事だとわかる。語られるままに方言もろとも収集した兄と、それらをシンプルな標準語に変換した弟という図式だ。
ドイツ語辞典の編者グリム兄弟の方言へのかかわりが判るエピソードである。
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