方言詩人
記事「文豪たちの話した言葉」でブラームスにテキストを供給した詩人たちの出生地から話し言葉を推定した。同時に話すのは方言でも作品は標準語で書いたのだろうと考えた。
方言関連の書物を調べていると「方言詩人」という言葉に出会う。文学作品を方言で書く人々の意味だと思われる。こういう言い回しがあるということは、すなわち通常は標準語で書くということだ。方言で作品を書くということが珍しいということの裏返しでもある。方言詩人の代表として挙げられていたのがクラウス・グロートだ。
彼の経歴は面白い。国民学校の教師として教壇に立つ傍ら独学で詩作を進めた。その後キールに出て勉強し、37歳でボン大学から学位を得る。学位論文のテーマは「低地ドイツ語の研究」だったというから恐れ入る。つまり筋金入りの方言研究家だ。47歳でキール大学の語学と文学の教授になった。
ブラームスに彼を紹介したのがクララ・シューマンだった。何よりグロートはブラームスの父と同郷でもあった。代表作は「雨の歌」だが、このテキストが低地ドイツ方言なのかどうかさっぱり見当がつかない。
« 文豪たちの話した言葉 | トップページ | クラウス・グロート »
コメント