じゃがいも
ブラームスの伝記、食事の場面に出くわすことは多いとは言えない。けれどもブラームスがじゃがいもを食べていたことはほぼ確実だ。フリードリヒ2世が救荒作物として普及を奨励したと伝えられている。彼は1786年に没したが、当時のドイツ諸邦の人口は合計で1600万程度だったらしい。これは2600万のフランスに負けていた。ところが19世紀後半の普仏戦争の頃になるとフランス4000万に対しドイツは6000万となった。国境付近のアルザスやロートリンゲンをどのようにカウントするかにもよるが、人口が逆転したことは大きい。ドイツ帝国の成立はプロイセン、なかんずくビスマルクの功績大とされているが、この人口逆転も無視出来ぬファクターだったと思われる。
ここまで来れば本日の文脈はおよそ察しがつくだろう。つまりその人口増をささえたのがじゃがいもだったということだ。寒冷地ドイツで食糧の安定供給は簡単ではない。じゃがいもがこれを解決したことはとても大きい。もともと勤勉なドイツ人から飢えの不安を取り除いてやれば、国力の飛躍的な向上はさして不思議なことではなくなる。
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