最後の授業
たしか中学1年の国語の教科書の一番最後の掲載されていた。フランス・アルザス地方のお話だ。大人の事情で、フランス語の授業が出来なくなるという背景の中、「今日でフランス語の授業は終わりですよ」という日を描いた作品だった。普仏戦争の結果、アルザス地方がドイツに割譲されたという史実を背景にしていると知ったのはずっと後のことだ。
いつもは怖い先生が妙に優しかったとか、先生が最後に黒板に「VIVA FRANCE」と書くシーンが印象に残っている。
このアルザス地方はライン川を挟んでドイツと向かい合う国境地帯だ。古来独仏の領有争いの舞台だった。この地で話されるアルザス語は、上部ドイツ方言の一派に分類されている。当地では現在でもアルザス語が日常語として通用する。
小節「最後の授業」に描かれる情景は、「母国語フランス語にお別れ」というニュアンスだが、受け手の生徒たちの日常語はアルザス語であったという可能性が高い。生徒たちから見れば、「語学の授業が一つ減る」という感覚かもしれない。
なるほど現代のアルザス地方の地図を広げると、ドイツ語の知識で解釈可能な地名が多い。「burg→bourg」「weiler→wil」に見られる微妙な変化も読み取れて面白い。
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