ヴァイオリニストの系譜
古今の大ヴァイオリニストを列挙論評する記事ではないことを予めお断りする次第である。
ドイツ語でヴァイオリニストは「ガイガー」(Geiger)なのだが、実はもう一つ「Fiedler」と引いてもヴァイオリニストと出てくる。「Fiedler」は「Fidel」を弾く人の意味。「Fidel」は中世に存在した弦楽器でヴァイオリンの祖先にあたるという。その名残で「Fiedler」がヴァイオリニストの意味になっている。
「Geiger」と「Fiedler」どちらもドイツ人の苗字になっている。数の上では「Fiedler」が優勢で0.08%を占め、苗字ランキングの140位。「Geiger」は同ランキング180位で、0.06%を占める。
興味深いことに、この両者は地域で棲み分けられている。ドイツ南部は「Geiger」で北部が「Fiedler」だった。ルクセンブルクとの国境に近いトーリアから、チェコのプラハに向かって東西の直線を引く。その線がチェコとの国境に到達したら、真南に折る。この線以南と以西で「Geiger」が優勢となる。
ちなみにオーストリアでもウィーンを含む東部は「Fiedler」で、ザルツブルク以西は、スイスまで含めて「Geiger」だ。
語尾に「er」を伴っているが、これは産地語尾ではない。英語とも共通する「~する人語尾」だ。
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