葬儀の翌月
ロベルト・シューマンの葬儀は1856年7月31日だった。没したのが29日だったからその翌々日の葬儀。ボン市長まで参列していたから、翌日の新聞くらいにはキチンと載っていたと思われる。
その葬儀から1週間以内という極めて近い時期に、歴史の教科書には必ず載っている発見があった。発見の場所はシューマン夫妻が住んでいたデュッセルドルフの東およそ13kmにある、洞窟の中だ。発見の詳しい日付は不詳だ。石灰岩採掘の作業員が骨片を見つけた。これが人骨であるという鑑定結果が出るのにおよそ1ヶ月かかり、地元の新聞には9月6日に掲載された。
これこそが名高いネアンデルタール人の発見である。ネアンデルの谷で発見された古代人なのだが、その洞窟は石灰岩の採掘のために取り壊されてしまった。それどころかネアンデルの谷もとろも削定されていた。産業革命を支えたセメントの材料を採掘するために、渓谷が丸ごと取り潰されてしまい、そこを流れる川は平地の真ん中を流れる川になってしまっていた。現在は学者の努力で、発見場所がほぼ特定されているが、谷間の洞窟までは復元されていない。
世界史の教科書には必ず掲載されるネアンデルタール人だが、音楽史的には無視されまくる。
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