会社用語
業界独特の言い回しというのがどんな世界にも存在する。「前向きに検討する」「善処する」など有名である。穏便婉曲を尊ぶ日本ならではの習慣かもしれない。
会社の中を見回しても2つ3つは簡単に目に止まる。たとえば「○○マター」だ。「○○」には組織名が入る。単なる組織名ではない。発言者が所属する組織名でないことが特徴だ。「オレの知ったことか」ないしは「そっちの仕事だろ」というニュアンスを濃厚に含む。
「基本的には」も目立つ。この言葉が発せられたら試しに発言者に「どんなことを例外として想定していますか」と問いかけるといい。答えられないことが多い。思いがけないつっこみに遭遇することに備えた事前のバリアなのだ。「ですから基本的にはと申し上げたはずです」と対応可能だ。事前の想定不足や準備不足の裏返しであることも多い。特に「基本的には賛成です」は使用頻度が高く重宝していると見受けられるが「総論賛成各論反対」の意味であるケースが混入していることもあるので注意が必要だ。
「ブラームスの辞書」ではブログでも著書でもこれらの会社用語の使用を禁忌している。趣味で出す本やブログに会社用語は似合うまい。
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