選書会議
「ブラームスの辞書」の天敵。
一部の図書館に設置されているらしい。個々の書物が蔵書とするにふさわしい内容かを判定する会議のことだ。「選定会議」あるいは「選書委員会」「選定委員会」と称されることもある。
蔵書水準の維持向上のためのものなのだろう。ホームページ上でその存在を明記している図書館もあるがメンバーや開催頻度、判断基準は公開されていない。もちろん議事録も公開されていない。
我が子同然の「ブラームスの辞書」もいくつかの図書館に献本したが、そのうちの一部で「一旦本をお預かりします」と言われて後日返事が来たことがあった。思えばこの選書会議に諮られていたのだと思う。
必要とされるところに置いて貰うという観点からは歓迎すべきことだが、「ただでも要らん」と判定されることのダメージは重くて大きくて深い。
そして素朴な疑問。選書会議で蔵書化を否決されてしまった本は、どうなるのだろう。私は回収に出向いたことが一度だけあった。蔵書には出来ないのだから、著者に返すか職員のみなさんで持ち帰るのか、廃棄するのかどちらかだろう。書店を通じて購入した本ならば返品かもしれない。いくつかの図書館が献本よりも購入にこだわるのは、選書会議で蔵書化が否決された場合に返品が利くからかもしれないなどと卑屈に勘ぐってみたくなる。
一方でドイツ国立図書館からの献本要請は、蔵書化決定後の要請だったことは、結果から見て確実だ。つまり同じ献本要請でも選定会議前と後のケースがあるのかもしれない。
図書館に置かせてもらえるのは光栄だなどと言ってホクホク献本するのは、もしかすると無邪気が過ぎるのかもしれない。
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