アンカー
船の錨のこと。あるいはリレーの最終走者もアンカーと呼ばれる。小学校の紅白対抗リレーでは、アンカーが特にたすきをつけて走る場合もある。決着がアンカー勝負にでもなればレースは俄然白熱する。相当カッコいい。
音楽之友社刊行の作曲家◎人と作品シリーズ「ブラームス」の生涯編の最終ページで著者西原稔先生は「ブラームスの死をもってドイツロマン主義が終わった」と断言しておられる。話が大き過ぎて呑み込みきれていない。ドヴォルザークに継承権は無いとしてもブラームスの死後、Rシュトラウスやグスタフ・マーラーの活躍があったし、シェーンベルク、ベルクそしてウェーベルンの台頭もある。そんなことは百も承知でブラームスの死をドイツロマン主義の終焉と位置づけたのだ。
ブラームスの伝記の最終ページであるが故にそう断言したのだろうか。ブラームスははたしてドイツロマン主義のアンカーだったのだろうか。
おそらく第一走者はベートーヴェンなのだと思う。それ以降シューベルト、ウェーバー、シューマン、ワーグナー、メンデルスゾーンなどなど華麗なメンバーが走り抜けた。彼等の奮闘を受け止めて20世紀に繋ぐ役割を、本当にブラームスが担ったという意味なのだろうか。
紅白リレーのアンカーに比べると何だか切ない。紅一点のクララの死まで見届けての華麗なゴールインと呼ぶには少し抵抗もある。
ブログ「ブラームスの辞書」を長く続けるなかから答えが見つかればいいと思う。
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