O Traurigkeit, o Herzeleid
「コラール前奏曲とフーガイ短調」WoO7として知られるブラームスのオルガン作品がある。そのベースになったコラールが「O Traurigkeit, o Herzeleid」である。「おお悲しみ、おお心の悩み」と訳されている。
作曲は1858年。ブラームス25歳の作品だが、1856年のロベルト・シューマン没の前後にまたがる広大な出版空白の時期でもあった。最晩年の「オルガンのための11のコラール前奏曲op122」に先行するオルガンコラールだが、バッハの前例にならってきっちりとフーガが付与され、「前奏曲とフーガ」という形態を採用しているのが若きブラームスの見識だろうか。
バッハには同コラールをベースにした作品が2つある。「Anh200」と「Anh204」だ。アンハングだからどちらも「断片」または「偽作」という扱いだ。
パッヘルベルにはP398のコーラル幻想曲が、同じコラールをベースにしている。
25歳の若さにして自らバロックの伝統に根差した作品を書くブラームスであった。
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