再び民謡と賛美歌
民謡と賛美歌が、ドイツ庶民生活の両輪だと書いた。今またその話題だ。
CPEバッハの功績、バッハの「4声のコラール集」は、賛美歌定旋律への和声付与の手本として歓迎されはしたのだが、いかんせんピアノ独奏用で、テキスト抜きだった。賛美歌一行目がタイトル代わりに付与されているものの、実際に歌うには不便も生じた。
さすがにそこはドイツで、歌いたい人用にテキストを補った楽譜が出版された。初めてテキストを付与した楽譜の校訂者を見て驚いた。ルートヴィヒ・エルクだ。ブログ「ブラームスの辞書」が民謡特集を展開した際の主役の一人であった。ブラームスとはその民謡観が正反対で論争となったくらいだ。そういえばエルクの肩書は民謡学者、作曲家に加えオルガニストもあった。コラールへの造詣が深くて当然だ。
タイトルとなった一行目の歌詞から、テキスト全体像にたどりつくのは簡単そうで奥が深い。テキスト内容に応じて和声を変えるバッハの面目躍如な話だ。その点をも考慮してテキストを補ったエルクの功績は高く評価されている。
民謡研究の第一人者が、コラール集の校訂をしているというだけで、民謡と賛美歌の密接な関係がうかがえる。
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