世紀の替え歌
民謡と賛美歌の相互乗り入れの話をする。
ハインリッヒ・イザーク(1450?-1517)という作曲家がいる。没年が宗教改革の年だから、バロック音楽以前、盛期ルネサンスに属する。インスブルックの宮廷でも活躍した。
代表作は「インスブルックよさようなら」だ。かつてブログ「ブラームスの辞書」で民謡特集を開催した際にはよく聴いていた。大好きな民謡の一つだ。原題は「Insbruck,ich muss dich lassen」という。
ブラームス最後の作品「オルガンのための11のコラール前奏曲」op122の3番と11番に出現する「O Welt,ich muss dich lassen」とそっくりだ。それもそのはず、原曲「インスブルックよさようなら」を基にプロテスタント派のコラールに転用されたものだ。「インスブルック」を「この世」に差し替えた壮麗な替え歌だ。
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