バロックの紀元前
世界史を学ぶ学生にとって「B.C.」と言えば基本中の基本だ。「紀元前」の略号だ。キリスト生誕以前の年代表記の際に用いられる。キリスト生誕後を示す「A.D.」と違って省略はされない。
バロック音楽作品を収録したCDのブックレットの中にも割と頻繁に「b.c.」が出現する。大抵は小文字だ。まさか「紀元前」の意味と誤解する人はおるまい。
「basso continuo」の略。「basso」は低音。「continuo」は英語「コンティニュー」と語源が同じで、合わせて「通奏低音」と和訳される。チェンバロやオルガンあるいはヴァイオリンなどの独奏曲を除いて頻繁にあらわれる。
バロック時代のことを「通奏低音の時代」と呼ぶ学者さえいるくらいだ。バスのパートには単音と数字が記されいて、演奏者の即興でどうぞというあれである。
通奏低音はパート名ではないので必ずしも単一の楽器ということもなく、楽器の種類や数もまた演奏者の判断に任せられる。長い経験に照らして選ばれるだけあって大体固定されているようだ。
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