数合わせとしての「45」
バッハが数字合わせ好きであったことは、よく語られている。「Bach」というスペリングを「B=2」「A=1」「C=3」「H=8」とみなして、その合計値「14」にこだわっていた話がその代表格だ。
本日はその系統の話題。
オルガン小曲集と通称される「Orgelbuechelein」はBWV599から644まで全45曲からなる。このうち33曲は教会暦上のイベントをトレースする内容で、キリストの生涯33年を示す。残り12曲はよく使う賛美歌の編曲で、12人の弟子を表す。万軍の神ヤハヴェを示す文字列「IHVH」を先の法則に照らし数値化すると45になる。
これら数に対する諸説の取り扱いには慎重を期するに越したことはないが、本日あえて話題にするのは、「45」がドイツレクイエムの作品番号に一致するからだ。ブラームスは、出版社に最終原稿を渡す際に、すでに自作の作品番号を顧慮していた。1868年10月のドイツレクイエム出版前後は、相次いで歌曲が出版されていた。作曲済の歌曲数曲をいくつかまとめて出版社に渡すという方法は、ドイツレクイエムを意図的に「45」に割り付けるにはうってつけだ。
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