個体識別のツール
作品のタイトルに調性が付与されるのは、個体識別のツールだと実感している。「協奏曲ニ長調」「ハ短調交響曲」など。同一ジャンルに複数の作品がある場合に「序数」のほかに調性が付与されることで、個体識別が容易になる。
バッハのオルガン作品を調べていると、「オルガン自由曲」には大抵調性が付与される。「小フーガト短調」「トッカータとフーガニ短調」などなど。
ところが、オルガンコラールになるとちっとも調性が出てこない。コラールは古来、テキストの一行目をもってタイトルに代えるというしきたりがあるから、調性を付与する必要がない。カンタータも同様に調性は脱落する。「主よ人の望みの喜びよト長調」「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ変ホ長調」とは言われない。
そういえば、ブラームスだって「ドイツレクイエムヘ長調」とは言わない。
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