コラールカンタータ
バッハの教会カンタータは、ほぼその用途が決まっている。教会暦上の祝日に集まった会衆に披露することが目的だ。当時の教会暦を参照することで、初演日が正確に特定できるのはそのせいだ。その祝日にふさわしい内容の音楽を毎週作って演奏していたと考えていい。
プロテスタントは、ルター以来、会衆が一緒に歌うというのが伝統だ。カンタータはふさわしい内容のコラールをちりばめて作られる。それがコラールカンタータである。特にそのフィナーレは「さあ、みんなごいっしょに」とばかりに聴き慣れたカンタータが、シンプルに合唱されるという構成をとる。
だから、「Mit Fried und Freud ich fahr dahin」をフィナーレ第4曲に据えたブラームスのモテットop74-1は、そのまま等身大のコラールカンタータと映る。その作品が、ブラームスの親友にして、当代最高のバッハ研究家フィリップ・シュピッタに献呈されているのはまことに理にかなっている。
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