水槽のシャコンヌ
パッヘルベルのシャコンヌの代表作をヘ短調だと申したばかりだ。ニ短調シャコンヌは、第四交響曲のフィナーレの始原の姿かもしれないとも書いた。これら短調のシャコンヌは、どっしりと地に足の着いた実直さが売りなのだが、本日はヘ長調シャコンヌP42の話題である。
まさに「水槽のシャコンヌ」だ。ヒーリングミュージックと紹介されたらすんなりとはまる。水槽ではあるのだが、我々聴き手も水中にいる感じ。さまざまな水の音が聞こえる。ゆるやかな流れ、泡立ち、光などイメージが次々に刺激される。ダイナミクス「p」の掌中でニュアンス1つの出し入れに終始する。あらゆる意味でバッハやブクステフーデとは違う個性の発露だ。
名高いニ長調カノンに似たベースラインだというのもなじみやすい。同時にカノンがけして偶然でないとわかる。
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