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2019年3月31日 (日)

無伴奏チェロのためのファンタジー

テレマンの「無伴奏ヴァイオリンのためのファンタジー」のチェロ編曲版。

 

Viviane Spanogheという女流チェリストがCDを出している。ほかに「音楽の忠実な師」から「独奏ガンバのためのソナタ」をチェロ用に編曲したものも収録されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年3月30日 (土)

テレマンの一週間

バートピルモントというリゾートスパの常連だったテレマンは、当地に滞在する間、同地の領主や湯治客の午後のひと時のために「Scherzi melodichi」と題された7曲のトリオソナタを書いた。編成はヴァイオリンとヴィオラと通奏低音だ。ヴィオラダガンバではなく、はっきりとヴィオラが指定されているところが私的にはストライクゾーンだ。

興味深いのはその中身だ。当時慣習としては出版は6曲または12曲が一まとまりなのだが、7曲となっている。7曲なのにはもっともな理由がある。月曜から始まって一週間の曜日があてがわれているという周到さだ。

  1. 月 イ長調   TWV42::A4    
  2. 火 変ロ長調  TWV42:B3
  3. 水 ト長調      TWV42:G5
  4. 木 変ホ長調  TWV42:Es2
  5. 金 ホ短調     TWV42:e4
  6. 土 ト短調      TWV42:g3
  7. 日 ニ長調     TWV42:D7

さらに各々のソナタがどれも冒頭に「Introduzione」(前奏曲)を置き、これに6つの部分がつながる7楽章制を採用している。調性の変化はない。前奏とフィナーレはどれも早いテンポに固定されている内側では、緩急織り交ぜた飽きさせない構造。最も長い曲でも7楽章合計で10分に満たない。調の重複はないばかりか、連続する2曲の調関係も古典派的な正当な関係は薄く、奔放さを感じる。明記こそされぬものの事実上の「ガヴォット」「ジーク」「コレンテ」「サラバンド」もしれっと混入していそうだ。

タイトルの「Scherzi」は「Scherzo」の複数形だ。古典派ソナタ楽曲の中間楽章に出現する舞曲楽章としての「スケルツォ」とは別物だ。洒落っ気だけでできている。金曜と土曜が短調というのもテレマンのウイットかとも思いたくなる。

温泉リゾートに長逗留の人々に曜日の感覚があるのかなどという小市民的つっこみは野暮である。

2019年3月29日 (金)

コレギウムムジクム

バロック時代ドイツに起こった民間の演奏団体。市民や学生により組織され、定期的に演奏会を開いた。その起源は16世紀プロテスタント教会の聖歌隊とされているが、やがて器楽にも拡大した。文献上の証拠は1660年ハンブルクにさかのぼるとされている。おそらくもっとも名高いのが、1702年テレマンによって創設されたライプチヒのコレギウムムジクムだろう。

のちにトマスカントルに就任したバッハも、この団体に作品を供給している。ツィンマーマンのカフェでのコンサートはよく知られている。

王侯貴族でも教会でもない、音楽の担い手の存在なしにドイツバロックは語り得ない。教会に勤務しながら、世俗作品を残した作曲家のモチベーションが説明できないからだ。非貴族、非教会、非オペラを同時に満たすコレギウムムジクムがドイツ各地のそこそこの規模の都市、とりわけ大学の存在はよい後ろ楯になったと考えていいい。テレマンはライピチヒの他、フランクフルト・アムマインやハンブルクでコレギウムムジクムを創設している。

 

 

2019年3月28日 (木)

無理もないが

テレマンの「ドンキホーテのブルレスケ」のCDの話。ファビオ・ビオンディ率いるエオウロパガランテのCDを発見して小躍りしながら買い求めたのは一昨年の9月28日だった。ちょうどビオンディのリサイタルの1週間後だった。存在は知っていながら長らく見つけられずにいたから本当にうれしかった。

収録されているのは下記の通り。

  1. 3つのヴァイオリンのための協奏ヘ長調 TWV53:F1
  2. 組曲「ドンキホーテのブルレスケ」 TWV55:G10
  3. ヴィオラ協奏曲ト長調 TWV51:G9
  4. 2つのヴァイオリンのための協奏曲ハ長調 TWV52:C2
  5. 組曲「変化」 TWV55:g10

このうち1番目と4番目の独奏者には、もちろんビオンディを含む。店頭で収録曲目を見たとき、ヴィオラ協奏曲を発見してほくそ笑んだ。まさかビオンディがヴィオラ持ち替えなどということはあるまいなと。

帰宅。着替えももどかしくブックレットを開く。がっかりだ。独奏ヴィオラはビオンディではなかった。ジョルディ・サヴォールとのブランデンブルク協奏曲第6番では、ヴィオラを弾いてくれていたから期待したが残念。学生時代以来のヴォルフラム・クリフト版とは違う。そりゃそうでこちらはピリオド楽器だ。テオルボまで加わっているからなおさらだ。

チェンバロは先般のリサイタルでも聞かせていただいたポンセさんだ。写真も載っていた。

2019年3月27日 (水)

ドンキホーテのブルレスケ

「TWV55:G10」を背負うテレマンの組曲。「Burlesque de Quixotte」という。「ブルレスケ」は「おふざけ」「滑稽」くらいの意味。

  1. 序曲
  2. ドンキホーテの目覚め
  3. ドンキホーテの風車攻撃
  4. ドゥルシネア姫によせる愛の溜息
  5. かつがれたサンチョパンサ
  6. ロシナンテのギャロップ
  7. サンチョのロバのギャロップ
  8. 眠りにつくドンキホーテ

ドンキホーテの愉快な一日をトレースしているとも思われる。ガリヴァーやドンキホーテなど文学作品を題材に求めた描写音楽が巧みだ。

2019年3月26日 (火)

ガンバ協奏曲

このほどまたまた興味深い掘り出し物があった。

テレマンの名高いヴィオラ協奏曲ト長調をヴィオラダガンバで弾いたもの。ヒレパールという女流演奏家のCDだ。

演奏者自筆のライナーノートでは、バッハのガンバソナタをあまたのヴィオラ奏者たちがCDにしているではないかと言い訳も忘れないウイットあふれる演奏。

 

2019年3月25日 (月)

TWV51:G9

テレマンのト長調ヴィオラ協奏曲の作品番号だ。「51」は独奏楽器1本の協奏曲を表す。「G9」の「G」はト長調で「9」は独奏楽器1本のト長調協奏曲の「9番目」という意味である。

バロック時代のヴィオラ協奏曲の貴重なレパートリーの一つだなどどいっている場合ではないくらいレアだ。テレマンの協奏曲はひとまずおよそ130曲知られていて、このうち独奏楽器が1本のものが57曲ある。ヴァイオリンが最も多くて26曲あるのだが、ヴィオラは本日話題のト長調1曲だけだ。

さらに独奏楽器2本以上の協奏曲に範囲を広げて探してもヴィオラは独奏楽器に選ばれていない。ヴィオラと通奏低音の二重奏曲を探すとわずかに見つかるが、これはガンバとの持ち替えだったりするので怪しい。

どういう経緯で作曲されたかはわからぬが感謝だ。

 

2019年3月24日 (日)

輝きこの日

原題を「Erschienen ist derherrlich tag」という。コラダス分類番号「9」は、バッハとテレマンのみが採用している。全143曲中たった3例のレアケースだ。

  1. バッハ  BWV629
  2. テレマン  TWV29

同コラールはカンタータ145番「我は生く、わが心よ汝を喜び楽しませんため」(Ich lebe,mein Herze,zu deinem Ergoetzen)のフィナーレ第5曲に採用されている。復活祭第3日のためのカンタータ。「第三日」は復活祭の翌々日だ。「第三主日」ではない。これだと3週間後なので注意したい。

さて、このカンタータ新バッハ全集では全5曲から構成されているのだが、元々はこの前に2曲付加されていたらしい。後からの付加とは言え元々は7曲あったのを、新バッハ全集刊行の際に2曲削ってしまったということだ。

削られた2曲のうちの後の方、旧第2曲には、テレマン作の合唱曲が丸ごと置かれていたという。それが新バッハ全集刊行にあたり削除された原因か確認したいが情報がない。ひとまず、テレマンとの関係浅からぬカンタータとだけ申しておく。フィナーレ第7曲に採用したコラールをベースに、テレマンもまたオルガンコラールを作曲していたとは、偶然にしてはおいしい。

 

2019年3月23日 (土)

イチロー引退

なんということだ。3月21日がバッハだけの日ではなくなってしまった。

一昨日3月21日の試合後、シアトルマリナーズのイチロー外野手が引退会見をした。

気の利いた言葉なんぞ浮かばない。

 

 

2019年3月22日 (金)

ハンブルク愛

弦楽合奏用の舞曲の集合体が「シンフォニア」と命名されることがテレマンの作品の中で見かける。本日話題の2曲もそのパターンだ。

一つ目は「ハンブルクの潮の満ち干」というタイトル。ハンブルクの海の描写だが、同地の海上保安隊の発足100周年記念の作曲という機会音楽でもある。

今一つが「アルスター」という題名。こちらはハンブルク郊外の湖の名前だ。

テレマンがハンブルクで活躍した作曲家であるから、とても自然だ。ブラームスがこれらを知らなかったとは考えにくい。ブラームスはハンブルクの名誉市民に選ばれたとき、当時のハンブルク市長に作品を献呈したことがあるけれど、ここまであからさまなハンブルク愛の発露はなかった。

何よりも洒落て気が利いた小曲の集まり。バッハと同時代を生きながらどうしてどうして曲想は対極にある。

 

 

2019年3月21日 (木)

悩み多き3月

3月は、バッハに加えてテレマン、ヴィヴァルディの誕生日が重なる。長男やビオンディも3月生まれだ。ブログ記事配置が大変厄介だ。会期延長で、期間中に3月が2回来ることになって本当に助かった。おかげでテレマン関連記事を2019年にずらすことで、2018年3月のカオスが解消した。

きしくもレーガーの誕生日に始まったココログのシステムメンテナンスが長引いて、3月19日0時から本日バッハの誕生日まで管理画面にアクセスできなかった。さてはオルガンマニアか。管理画面の使い勝手が全面的に変わってしまい、しばらくは用心が要りそうだ。

 

 

 

 

2019年3月20日 (水)

アルスター序曲

こちらもテレマンのハンブルクネタだ。「アルスター湖」はエルベ川の支流をせき止めてできた湖だ。現在でもハンブルク市民の憩いの場だ。作曲の目的や成立年はわかっていない。

  1. 序曲
  2. 祝砲を打ち鳴らすパラス
  3. アルスターのエコー
  4. ハンブルクのグロッケンシュピール
  5. 白鳥の歌
  6. アルスターの羊飼いの音楽
  7. 合奏する蛙と鳥
  8. まどろむパン神
  9. 羊飼いとニンフたちの荒々しい旅立ち

以上だ。なんだか楽しくなってくる。ホルン4、オーボエ、ファゴットに弦楽合奏という珍しい編成だ。序曲が9分を要するのに、続く各曲は大抵4分以内という構造は「wassermusik」と同じ。

特に7曲目の「蛙と鳥」の描写がそのものずばりで面白い。

 

 

2019年3月19日 (火)

Wassermusik

直訳なら「水上の音楽」なのだろう。ヘンデルが名高いのだが、テレマンにもあった。別名「Hamburger Ebb und Fluth」(ハンブルクの干満)という。1723年の作品。1721年にハンブルク市音楽監督に就任後、初めて大きな祝典に曲を献じた。ハンブルク海軍省創設100年記念式典のための音楽が「Wassermusik」と命名されている。

  1. 序曲
  2. サラバンド:「踊るテーティス」
  3. ブーレー:「目覚めるテーティス」
  4. ルール:「恋に落ちたネプチューン」
  5. ガヴォット:「遊ぶ泉の精」
  6. 道化:「たわむれるトリトン」
  7. メヌエット:「吹きすさぶ嵐」
  8. メヌエット:「快い西風」
  9. ジーク:「潮の干満」
  10. カナリー:「愉快な舟人たち」

見ての通り、序曲を冒頭に置いた舞曲の集合体。序曲が10分近い長さなのに対し、続く舞曲はおよそ3分以内だ。海軍省の式典だけあってみな海に関係する。テーティスはギリシャ神話の海の女神、ネプチューンはローマ神話における海の神、トリトンはギリシャ神話の海の神だ。神様総動員である。9曲目ジークは題名の通り、海面の上下動の巧妙な描写だ。

 

 

 

2019年3月18日 (月)

ガリヴァー組曲

テレマンが1729年に出版した2本のヴァイオリンのための組曲。TWV40:108だ。英国の作家スウィフトの「ガリヴァー旅行記」は1726年に出版されるや大した評判になった。そのわずか3年後にテレマンはストーリーをトレースした作品を書いたということだ。機を見るに敏だ。

全体は下記の5つの部分からなる。

  1. イントラーダ(序曲)
  2. リリパット人(小人)のシャコンヌ
  3. 巨人のジーク
  4. アンダンテ ラピュタ島の住民たちの空想と目を覚まさせる下僕
  5. フウイヌム人のローレとヤフー人の野蛮な踊り

いろいろと面白い。通奏低音なしだから事実上のヴァイオリン二重奏だ。それから拍子がたいそうマニアック。上記の2番は「32分の8拍子」で、3番が「1分の24拍子」つまり「1小節に全音符が24個」ということだ。聴いた感じは普通なのだが、楽譜の見てくれで小人と巨人を表現したと目される。

ガリヴァー旅行記のストーリーをなぞりながら、全体の枠組みは舞曲になっている。ドイツにおける組曲の模範的な配置「アルマンド」「コレンテ」「サラバンド」「ジーク」からは景気よく逸脱していて、残ったのはジークだけという荒唐無稽ぶりも狙い通りだろう。

2019年3月17日 (日)

ハンブルク市音楽監督

自由ハンザ都市ハンブルクの音楽責任者。ハンブルク生まれのブラームスは若い頃からこの地位に憧れた。ちょっとした手違いすれ違いでブラームスはついぞこの地位に就くことはなかった。

話を1721年まで遡る。40歳のテレマンがハンブルク市音楽監督に就任した。没するまで46年間この地位に君臨した。自由ハンザ都市ハンブルクは、特定の王侯貴族の支配を受けない都市。そこの音楽の責任者たるや、我々現代人の想像を超える。

自由ハンザ都市ハンブルクは、特定の王侯貴族の支配を受けていない。信仰のよりどころとしての教会は存在したが、カントル兼任のテレマンは聖俗両面で頂点にあった。ハンブルクオペラの責任者であるほか、市民向けの演奏会も企画する。裕福な市民向けに楽譜の予約販売も手掛ける。作品が教会音楽に偏っていないのはこうしたハンブルクの位置づけのせいだ。

ハンブルク市音楽監督としてのテレマンの後任はバッハの次男カールフィリップエマニュエルである。父の地位ライプチヒトマスカントルに何らそん色の無い要職だ。やがて1809年にメンデルスゾーンがここハンブルクで生まれることになる。

ブラームスが生まれるのはテレマンの孫、ミヒャエル・ゲオルクの没したわずか2年後のことである。

こうしたハンブルク市の音楽的伝統が、マルクセンという教師から効率よく若きブラームスに植え付けられたとみるべきだ。ハンブルクに生まれて音楽を志す若者が「いつかはハンブルク市音楽監督に」と考えるのは自然なことだ。

同時に、そうした思いの源流にテレマンがいないとしたらそれはむしろ不自然だ。

2019年3月16日 (土)

もはや名将

英国プレミアリーグ、リヴァプールの監督ユルゲン・クロップさんのことだ。バロック特集を遮って記事にするものかどうか悩んだが、どうにも止まらなくなった。

14日早朝、欧州チャンピオンズリーグ、決勝トーナメント1回戦セカンドレグ。敵地ミュンヘンで、ブンデスリーガ王者バイエルン・ミュンヘンを3-1で破った。本拠地アンフィールドでのファーストレグをスコアレスドローで乗り切り、満を持しての勝ち抜けだ。

現職に就く前は、ブンデスリーガ、ドルトムントの監督として、リーグ2連覇の実績もあるくらいで、バイエルンミュンヘンには滅法強い。日本代表MF香川真司のボスでもあったばかりか、バイエルン側に元教え子もいる。破れたバイエルンは8季ぶりのトーナメント1回戦敗退である上に、ブンデスリーガ全滅という事態に立ち至った。

もはや名将。

2019年3月15日 (金)

頭抱える

昨夏のドイツ旅行の話を長男としていたときだ。長男が不意につぶやいた。

「パパは、10日間日本国内旅行を企画出来るの?」

今回のドイツ旅行が9泊11日だということが踏まえられている。同時に「鉄道」「音楽」「ビール」が3大テーマだということも知っての問いだ。長男は2012年にも2016年末から5泊7日ドイツチェコツアーにも私と同行したいっぱしのドイツ好きだ。

言われてみて頭を抱えた。

その通りだ。国内で鉄道を駆使したわくわくするような旅のテーマを描けるかという問いに等しい。「音楽」「ビール」ではドイツとは比較にならない。グルメ、歴史、温泉に無理やり的を絞るにしても、今回私がドイツ旅行やその準備を通じて感じた高揚感には遠く及ばないと感じる。

2019年3月14日 (木)

テレマン

3月14日はテレマンの誕生日だ。1767年没なので一昨年が没後250年のメモリアルイヤーだった。長くハンブルク楽壇のトップに君臨したテレマンだが、彼について言及する際には、高い確率で「当時はバッハより知名度が上だった」という情報が付与される。大きなお世話だ。

そのバッハとはお友達で、バッハ次男のミドルネームには「フィリップ」を持ち込んだ。もちろんテレマンの名前「ゲオルグ・フィリップ」に由来する。そのカール・フィリップ・エマニュエル・バッハはハンブルク歌劇場の総監督の座をテレマンから引き継ぐという偶然付きだ。

お気に入りはヴィオラ協奏曲ト長調。学生時代に取り組んだ記憶が今では甘く熟成している。

2019年3月13日 (水)

ペイヒェルベ

昨年夏の旅行最初のエポックはパッヘルベルの墓参だった。

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ホテルで道を訊くのだが、どうにも伝わらん。「パッヘルベル」と言っても伝わらん。名高いカノンの一節を口ずさんでもなお伝わらない。メモに「Pachelbelと書いても「?」な感じ。ブラームスはもちろんバッハやテレマンやブクステフーデはすぐに通じたことと対照的だ。

そもそも一般人がパッヘルベルを知らないという現象だ。日本での知名度の方がずっと上だと感じたが、よく考えるとそりゃ「カノン」の知名度だろう。

それでも何とか伝わると、相手は「ペイヒェルベ」と言っている。まさかそれが「パッヘルベル」だとは思わなかった。

2019年3月12日 (火)

ヴィオラ六重奏のためのカノン

1980年の夏。大学3年のオーケストラの夏合宿。合宿恒例の室内楽演奏会があった。その直前の6月にヴィオラのパートリーダーに就任した私の思いで、ヴィオラだけでパッヘルベルのカノンを演奏した。もとは3声のヴァイオリンと通奏通奏低音という編成なのだが、私がヴィオラ6声部用に編曲した。編曲に加えてパート譜も写譜してそろえた。

原曲は3部に分かれたヴァイオリンがまったく同じ旋律を2小節ずつ遅れて追いかけるというシンプルな構成で、1~3までのヴァイオリンパートに難易度の差はない。編曲とは言っても個々の旋律を分解してヴィオラ6声部に構成しなおしただけで、せいぜいオクターブの上下動くらいだ。1番から6番までの各パートには、当時のヴィオラパートのメンバー構成に合わせて難易度に差をつけた。

  • 1番 難しいパート。
  • 2番 中くらいのパート。
  • 3番 難しいパート。
  • 4番 4月に入部した初心者用のパート。
  • 5番 中くらいのパート。
  • 6番 難しいパート。

実際にはコントラバスとチェロを各1名加えた。

8月29日の夜、室内楽演奏会で披露した時の会場のざわめきを忘れない。当時オケのしきたりに反するパートアンサンブルだったこと、それまで弱小だったヴィオラパートに12人そろったという驚きもあったはずだ。

2019年3月11日 (月)

蘇演記念日

1829年3月11日ベルリン、若冠20歳のメンデルスゾーンの指揮により、バッハの「マタイ受難曲」が蘇演された。この日取りが東日本大震災の日ということのほかにも、もう1つ大きな意味がある。ライプチヒにおけるバッハ自身の指揮による初演からちょうど100年後の記念日に相当するからだ。

メンデルスゾーンは、総勢158名の合唱を含む大所帯を率いて準備したばかりではなくジンクアカデミーの演奏会場の借用費50ターラーを自腹を切って負担した。歌手たちの中には出演料の受け取りを辞退したものもいた。チケットは数週間前に売り切れ、1000人が入場を断られたという。
一方、完全な上演に4時間を要する大作だけに、当時の聴衆への受けを心配したメンデルスゾーンは、大胆なカットを決断した。後世の愛好家専門家の間では物議をかもすことになるが、当時は誰からも批判されていないことは考慮に値するだろう。
公演は圧倒的な成功を収めた。すぐに再演が企画されちょうど10日後と決まった。つまり再演の日はバッハの誕生日3月21日だということだ。

2019年3月10日 (日)

晴れセバスチャン

昨日ドイツ旅行の報告記事が途絶え、このところ退屈していたセバスチャンと母を連れて春のドライブに出かけた。日帰りのロングドライブである。

目指すは浜松。とにかく絵に描いたような行楽日和でご覧の通り。

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浜名湖産の新海苔が、おいしくてとうとう現地に買い出しという話。ついでにあれもこれもと欲が出た。

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お目当ての海苔屋のそばに、東海道新居の関所跡があった。母は高齢とはいえ「出女」にあたるので取り調べがあるかもと心配顔のセバスチャンだ。

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おっとその前にこちらだった。浜松名物のバウムクーヘンだ。併設のカフェで朝食代わりのケーキセットだ。

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湖畔で三ケ日ミカンを買い求める母。

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ミカンやうなぎの陰に隠れがちだが芽キャベツもこのあたりの特産品だ。

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とどめは浜松ギョウザ。50分待ちをものともせずに賞味した。

うなぎと生シラスには華麗なスルーをかましたが、満足の一日となった。

2019年3月 9日 (土)

高きには栄え

オリジナルは「Allein Gott in der Hoh sei Ehr」だ。下記の通りブクステフーデ以外の3人が採用している。

  1. バッハ BWV662,663,675,676,677,711.716.717,764,771
  2. パッヘルベル P10,11,12
  3. テレマン TWV31:3

3人が計14回も採用している。頻度としては最高だ。ブクステフーデ不在が残念でさえある。

テキストも旋律もニコラウス・デシウス(1485-1546)というホフ生まれの神学者だ。1522年ブラウンシュヴァイクの教師として赴任した際、宗教改革の理念に共感して、ミサの通常分「グローリア」「サンクトゥス」「アニュスデイ」を独訳して旋律を付して刊行した。ルターによるドイツ最古の賛美歌集より2年さかのぼる。最古のドイツ語賛美歌と位置付けられる由縁である。

このうちの「グローリア」こそが本日話題の「高きに栄え」である。

2019年3月 8日 (金)

アポロンの六弦琴

オリジナルは「Hexachordum Apollinis」と綴るパッヘルベルのチェンバロ作品の代表作。ただただ可憐だ。

とくに第6番がいい。

なんと、この作品はブクステフーデに捧げられている。

2019年3月 7日 (木)

マニフィカトフーガ

マニフィカトとは、マリア様を賛美する聖歌だ。となるとプロテスタントにはお呼びでないかとも思えるが、バッハにも作品がある。本日話題の「マニフィカトフーガ」はパッヘルベルオルガン作品の最高峰を形成すると思われる。必ずしも聖歌にはとらわれぬ主題に基づくおよそ90のフーガの集合体だ。

当時使用されていた下記8つの教会旋法に基づいている。

  1. 第1旋法 ドリア
  2. 第2旋法 ヒポドリア
  3. 第3旋法 フリギア
  4. 第4旋法 ヒポフリギア
  5. 第5旋法 リディア
  6. 第6旋法 ヒポリディア
  7. 第7旋法 ミクソリディア
  8. 第8旋法 ヒポミクソリディア

イオニア、ヒポイオニア、エオリア、ヒポエオリアはない。当時知られていた全ての調を網羅する点で、「平均律クラヴィーア曲集」を思い起こさせる。

まだある。このうち第一旋法ドリア調によるマニフィカトフーガは、フーガの技法との主題的な関連が指摘されている。

2019年3月 6日 (水)

井戸振り見えろ

おバカなタイトルだが、少々のご辛抱を。

ブラームスに限らず作品の解説書を読んでいると、しばしば教会旋法が引用される。何やらわかりにくいと腰が引けているが、面倒臭がってもいられないので本日はそれらを整理する。まずはピアノの鍵盤を思い浮かべて頂く。本日に限っては黒鍵に用はない。話は白鍵で完結する。

  • CからCまで オニア調 教会旋法としての名前があるにはあるが、これは普通のハ長調だから、いちいち「教会旋法のイオニア調です」などと解説されたりはしない。
  • DからDまで リア調 バッハのBWV538「ドリアントッカータ」で名高い。ブラームスにもドリアンリートがある。ニ短調の和声的短音階の中の「B」にナチュラルを与えればいい。
  • EからEまで フリギア調 ホ短調の和声的短音階の中の「Fis」にナチュラルを与えればいい。第4交響曲の第2楽章冒頭のホルン。シャープ4個を付与された「ホ長調」だというのに、冒頭いきなり「Fis」にナチュラルが投じられる。いやはやな展開。ここに限らず短調音階の第2音が半音下がると「フリギア2度」と呼ばれる。
  • FからFまで リディア調 ヘ長調音階の中の「B」にナチュラルを与えればいい。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第15番の第3楽章が名高い。ブラームスではロマンツェop118-5の24小節目の嬰ト音のトリルが怪しいと古来指摘されている。
  • GからGまで ミクソリディア調 ト長調音階の中の「Fis」にナチュラルを与えればいい。てゆーか単なる「G7」。
  • AからAまで エオリア調 これも単なるイ短調なので解説書で言及されることはない。
  • HからHまで ロクリア調ギリシア旋法としては存在したが教会旋法としては捨てられた。主音の5度上の音・嬰ヘが黒鍵なるからかもしれない。

上記と同じ音程間隔を持つ音階は、理論的にはどの音を起点にしても想定出来るが、教会旋法は白鍵に限られている。ドリア調はD起点に限ると言うことだ。だからD起点以外の場合、「ドリア風」としか呼べないらしい。

「井戸振り見えろ」は、これらを順に覚える呪文だ。「イオニア」の「い」、「ドリア」の「ど」、「フリギア」の「ふ」、「リディア」の「り」、「ミクソリディア」の「み」、「エオリア」の「え」という具合にきて「HからHまで」は「ロクリア」の「ロ」にする。これで「いどふりみえろ」となる。

2019年3月 5日 (火)

心から愛しまつるイエスよ

原題は「Herlich liebster Jesu,was hast du verbrochen」という。コラダス分類は「2」で、パッヘルベルだけが採用している。

コラダス収載143曲のうち、パッヘルベルだけが採用する、分類番号「2」は、33曲ある。しかしながら、オルガン曲には採用がなくてもカンタータには採用されているケースもあるからあくまでも目安程度である。現にマタイ受難曲には3度、ヨハネ受難曲には2度現れる。

ブログ「ブラームスの辞書」的にもっとも大切なことは、ブラームスの「オルガンのための11のコラール前奏曲」op122の2番が「Herlich liebster Jesu,was hast du verbrochen」をベースにしていることだ。パッヘルベルとブラームスのペアリングが完成していることになる。

2019年3月 4日 (月)

神のみこころは

原題は「Was mein Gott will,gescheh allzeit」という。

  1. パッヘルベル P488,489,490
  2. テレマン  TWV31:35

見ての通り、コラダス分類番号「5」。パッヘルベルとテレマンが採用する。まあしかし、バッハにオルガンコラールこそないものの、「マタイ受難曲」に印象的な出番があるから目安程度と考えていい。

特筆すべきはメンデルスゾーンだ。オルガンソナタ第一番op65-1の第一楽章に本コラールが引用されている。

2019年3月 3日 (日)

バッハ記事283本

バッハ生誕333年と屁理屈をこねて昨年正月に始まったバロック特集の中、昨日カテゴリー「バッハ」に属する記事が283本に到達した。これは作曲家カテゴリー別ランキング第一位のドヴォルザークを抜いたということだ。

バッハに関する記事であれば、ブラームスに直接関係しなくても記事にしている。バッハならブラームスは絶対に文句を言わないと確信している。
バッハ記事283本到達を喜ぶと同時に、ドヴォルザークに282本の記事が堆積していることの重みをかみしめている。

2019年3月 2日 (土)

キリストは死に繋がれしか

オリジナルは「Christ lag in Todenbanden」だ。下記の通りブクステフーデ以外の3名が採用している。

  1. バッハ BWV625、695、718
  2. パッヘルベル P58、59
  3. テレマン TWV31:27

見ての通りオルガンは賑やかなうえに。実はこのコラールはBWV4のカンタータの中核をなす。7つの楽章すべてが同コラールに基づくといういわゆる「コラールカンタータ」であるミュールハウゼンのブラジウス教会オルガニスト試験応募作品だと考えられ、最古期のカンタータと位置付けられている。

ブラームスはウィーンジンクアカデミー音楽監督時代に同カンタータを演奏会で取り上げている。だから本作にまつわるさまざまな蘊蓄はすべて承知していたと考えられる。

2019年3月 1日 (金)

ひとよ、汝が罪の

原題を「O Mensch,bewein dein schuende gross」という。コラダス分類番号「10」。バッハとパッヘルベルが採用している。

  1. バッハ BWV622
  2. パッヘルベル  P396,397

マタイ受難曲第一部のフィナーレに現れることで名高い。

一方、同コラールのテキストはゼバルト・ハイデンによるものだ。彼は1525年から1561年に没するまでニュルンベルクの聖ゼバルドゥス教会付属学校の校長の地位にあった。つまり、1653年生まれのパッヘルベルの初等教育に間接的に関与した可能性がある。パッヘルベルは少年時代に、同教会の聖歌隊指導者ハインリッヒ・シュヴェンマーの指導を受けたとされているからだ。テキストの供給だけとはいえ、パッヘルベルはハイデンを知っていたと感じる。

1695年、パッヘルベルは同教会のオルガニストに就任したことはよく知られている。だからこのコラールを題材にオルガンコラールを作曲したのがとても自然に思える。

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