ガリヴァー組曲
テレマンが1729年に出版した2本のヴァイオリンのための組曲。TWV40:108だ。英国の作家スウィフトの「ガリヴァー旅行記」は1726年に出版されるや大した評判になった。そのわずか3年後にテレマンはストーリーをトレースした作品を書いたということだ。機を見るに敏だ。
全体は下記の5つの部分からなる。
- イントラーダ(序曲)
- リリパット人(小人)のシャコンヌ
- 巨人のジーク
- アンダンテ ラピュタ島の住民たちの空想と目を覚まさせる下僕
- フウイヌム人のローレとヤフー人の野蛮な踊り
いろいろと面白い。通奏低音なしだから事実上のヴァイオリン二重奏だ。それから拍子がたいそうマニアック。上記の2番は「32分の8拍子」で、3番が「1分の24拍子」つまり「1小節に全音符が24個」ということだ。聴いた感じは普通なのだが、楽譜の見てくれで小人と巨人を表現したと目される。
ガリヴァー旅行記のストーリーをなぞりながら、全体の枠組みは舞曲になっている。ドイツにおける組曲の模範的な配置「アルマンド」「コレンテ」「サラバンド」「ジーク」からは景気よく逸脱していて、残ったのはジークだけという荒唐無稽ぶりも狙い通りだろう。
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