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2019年6月28日 (金)

Gera di due violini in uno

イタリア語だ。「1台のヴァイオリンによる2台のヴァイオリンの競争」とでも解しておけばいい。

エアフルト生まれで主にマインツで活躍した作曲家ヨハン・ヤコプ・ワルター(1650-1715)のソナタ集「ホルトゥス・ケリクス」の第17番のタイトルだ。

興味深いのはその内容。記譜はト音2段とヘ音1段の計3段だが、2段に分かれたト音記号部分はヴァイオリン1本で演奏することになっている。一台のヴァイオリンによる、2役だ。独奏ヴァイオリンによる複数声部作品の先駆けと考えられる。楽譜が2段になっていることで、声部の進行は明瞭な一方で、記譜から重音奏法とは察知しにくい。

このソナタ集の出版は1688年バッハ3歳のころだ。当時からヴァイオリン学習の基礎教材として使用されていたから、バッハ自身が使用していた可能性も排除されていないという

バッハが一連の無伴奏作品で指し示したもの、単一弦楽器による複数声部の扱いが到達点とするなら、ワルターのこの作品は、発想として源流を形成していると思われる。

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