もう一人の候補者
1890年、ルスト未亡人の所有していた無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータの手稿譜を、ブラームスが出版を前提に友人と共同で買取を画策したことを話題にした。その友人をジムロックではないかと昨日書いたばかりだが、もう一人候補者がいる。「バッハ伝」の著者で友人のフィリップ・シュピッタだ。
1890年6月16日にシュピッタからブラームスにあてた書簡の中に、同手稿譜についての言及がある。内容までは不明だが、タイミングはピタリである。「ウィーン写本」と表記されている、これに対するブラームスの返信が残っていないなど謎も多く、まだまだ確認も必要だ。
「バッハ伝」第二巻の刊行が1879年、バッハ協会による旧バッハ全集の刊行が着々と進む中、シュピッタとブラームスの間で、シャコンヌを含む無伴奏ヴァイオリン作品が話題となったことは確実だ。
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