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2019年8月19日 (月)

クララへの献辞その2

みすず書房刊行の原田光子訳「ヨハネスブラームス・クララシューマン友情の書簡」という本の226ページに、左手版シャコンヌをクララに贈った際に添えられた手紙が訳出されている。以下にその全文を掲載する。

愛するクララ
私は長い間このように愉快な曲をお送りしなかったように思います。バッハのシャコンヌは私にとって最も素晴らしい、最も難解な音楽です。ひとつの方式、小さな楽器に「彼」は世界の最も深い思想と、力強い感動を書き込んだのです。私があの曲をもしも作ったと想像してみると、あまりに大きな精神の昂揚と感動に、きっと気が狂ったであろうと思われます。もし偉大なヴァイオリニストがそばにいないならば、単に頭で音にしてみる時に、一番よく鑑賞できるでしょう。
 
シャコンヌは、シャコンヌを基にして何かをやってみたい興味を刺激します。人間は音楽が鳴るのをただ楽しみのためにのみ、常に聴きたく思うものではありませんし、ヨアヒムがしじゅうそばにいるわけではありません。それでいろいろ試みてみるが、管弦楽やピアノではいつも私の喜びが濁らされてしまうのです。
それで一方法として、この作品のひじょうに縮小された、しかしよく似た純粋な喜びを作り出す工夫をしました…左手だけで弾いてみるのです。私にはときどきコロンブスの卵の話が足りないのです。各種の技巧やアルペジオ等が一緒になって、私にヴァイオリニストと感じさせるのはなかなか困難なことです。
どうか試みにお弾きください。あなたのために書いたのですから。しかしどうかお手を酷使なさいませんように、大きな音と力を要求しますが、始めの間は「messa voce」でお弾きください。過労におなりでなければ…きっとお楽しみになれることと思います。
では美しい海に、愛するあなたの秘書によろしく。そして早々にお返事を。
                                          あなたのヨハネス
以上だ。
1877年夏、ペルチャッハからクララの滞在するキールに宛てている。シュレーダー先生の引用が正確であることが見て取れる。音楽的見地に立った意訳も伺える。「つい編曲したくなる魔力」についてもさりげなく言及されている。バッハとクララへのリスペクトがこの編曲の根底にある。自らのバッハへの思いを楽譜に閉じ込めてクララに届けたいのという切実な思いを垣間見るようだ。これがシュレーダー先生にも届いているということもまた確実だ。

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