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2019年8月 3日 (土)

フルッチョ・ブゾーニ

イタリア・エンポリ生まれのピアニストで作曲家。ウイーンを訪れたこともあるらしく、ブラームスと面会したという記録もある。ブラームスに長く親しんでいると、時々出くわす名前である。バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのシャコンヌのピアノ編曲は有名である。左手1本用にしてしまったブラームスと違って、ブゾーニは両手用だ。これはもうキャラの違いという他はないのだが、華麗な編曲である。ブラームスを聴き慣れてしまった耳には、少々毒でさえある。同じ作品を編曲しているということで、興味を持ったのが、ブゾーニとの接点その1であった。

接点その2はヴァイオリン協奏曲だ。第一楽章には演奏者によるカデンツァが挿入される。古今のヴァイオリニストがカデンツァを奉っているが、このブゾーニもピアニストでありながらカデンツァを作っている。なんとなんとティンパニやコントラバスまで応援に引っ張り出してのカデンツァである。

そして接点その3。ブラームス最後の作品と目される「オルガンのためのコラール前奏曲」作品122をピアノ独奏用に編曲している。我が家にCDがあるのは、このうちの4,5,8,9,10,11の6曲だ。編曲がこの6曲だけなのかどうかは実は把握できていない。目から鱗の編曲だ。聴けば聴くほどインテルメッツォに聞こえる。ブラームスへの深い理解なしにはあり得ない編曲だと思う。「私だけの秘密のインテルメッツォはいかが」という感じが充満している。

接点1を別とすれば、このブゾーニという人はブラームスが好きだったのではないかと思えて仕方がない。接点2のヴァイオリン協奏曲はともかく、接点3のオルガン作品をわざわざ編曲するとは、並の傾倒ぶりではない。

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