凄い本
とある古書店をうろついていて、凄い本を見つけた。
ウリ・モルゼン著芹沢尚子訳「文献に見るピアノ演奏の歴史」原題は「Die Geschichte des Klavierspieles in histrischen Zitaten」という。副題が「初期ハンマークラヴィーアからブラームスまで」となっている。1986年12月刊行だからもう30年近く前の本だ。
古今の資料の中から、ピアノの演奏にまつわる部分だけを抜き出した代物だ。記事の数は479本に及ぶ。その源泉はC.P.Eバッハや、レオポルド・モーツアルト、チェルニーなどの理論書から、シューマンなどの評論、さらには個人の日記書簡という広範囲にまたがる。
目から鱗だ。バッハ、ハイドン、モーツアルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、リスト、メンデルスゾーン、ショパン、ブラームスという定番に加え、ビューロー、クララ、ハンスリックなど演奏家評論家の手記もあり、ピアノがどう弾かれどう聴かれてきたかを偲ぶことが出来る。譜例などほとんど無いに等しいというのに、半端ではない説得力だ。話題になっている曲についての知識があればもっと楽しめる。
収集の範囲の広さと、着眼の鋭さが並ではない。
きっと一生の宝だと思う。
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