嫁と姑
クララとロベルトが結婚にこぎつけたとき、ロベルトの母は既にこの世を去っていたから、嫁クララは、姑との関係に配慮する必要はなかった。むしろ実父との確執が悩みのタネだった。
クララの息子たちのうち次男のフェルディナンドだけが結婚した。つまり嫁を貰ったのだ。嫁の名はアントーニエという。2人は7人の子供を授かった。クララの孫ということになる。フェルディナンドが42歳でこの世を去った後、孫たちの養育費はクララが負担したが、嫁との折り合いは良くなかった。
嫁と姑の確執は、7人の孫たちにも微妙な影を落とした。長男は60歳のブラームスを「喉を鳴らす仔猫」と評していたフェルディナンドで、クララの臨終の際にもそばにいた。この長男以外の6名は、どうも母アントーニエ寄りの立場だったという。特に弟のアルフレートは後に祖母クララを攻撃する文書を公にした。「シューマン夫妻の4男フェリクスの父親はブラームスではないか」という俗説の起源は彼の文書に起因するらしい。
« カルメンを贈る | トップページ | クララのチェック »
コメント