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2019年11月20日 (水)

ショパン風

たとえば「ショパン風」のように、既存既知の作曲家の実名を用いて「誰それ風」という言い回しがしばしば見られる。「ショパンの作風に似ていますね」という意味である。単に「ショパンに似ている」言わないところが、ミソだったりするようだ。先にショパンの作風が確定していれば何の問題も生じないが、作風確定がおろそかなケースも散見する。「ブラームスの辞書」ではブログでも書籍でも、そうした言い回しを出来るだけ避け、「似ている」と断言することにしている。

ブラームスは自作に出版の価値がありや無しやという質問を、しばしばクララに投げかけている。op76-8ハ長調のインテルメッツォがその対象になった。クララからの返信は「と~んでもない」というものだった。具体的な譜例を上げて、こうすればもっと良くなるという提案を2つ3つしている。もしどうしても1曲省かねばならないなら6番イ長調だとクララは主張する。

クララは理由を付け加えることを忘れない。「なぜなら6番はショパン風過ぎる」というのがその理由だった。私ごときがブログで使うことは出来ないがクララの言葉となるとカッコいい。「あんたはヨハネス・ブラームスでしょ。しゃんとしなさい」に近い。あらゆるピアノ書法に通じたクララの言葉だけに重みが違う。

何より幸いなことはブラームスが6番を破棄しなかったことだ。

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