未亡人
配偶者を亡くしたご婦人という定義だと、やや物足りない。平均寿命の関係で夫に先立たれる妻は少なくないのだと思う。あくまでも直感だがそこそこの老齢に達している夫人が、夫に先立たれても、未亡人とは呼ばれにくいような気がしている。定義があるのだろうか。音楽史をひもとけばかなりの数の未亡人に遭遇する。バッハ2人目の妻アンナ・マグダレーナ、モーツアルト夫人コンスタンツェ、メンデルスゾーン夫人セシル、ドヴォルザーク夫人アンナ・チェルマコーヴァ、マーラー夫人アルマなどなどだ。
ブラームスの伝記にもこれまた数多くの未亡人が登場する。
- ロベルト・シューマン夫人のクララ。筆頭格だ。説明不要である。
- デニングホフ夫人のリースヒェン。ハンブルク郊外のヴィンゼンで製紙業を営むギーゼマンの娘。14歳でブラームスと知り合った幼なじみ。デニングホフ夫人となったが、娘アグネスがベルリン高等音楽院在学中に夫に先立たれる。窮状を知ったブラームスが奨学金の支給に尽力したことはよく知られている。
- カロリーネ・シュナック 父ヨハン・ヤーコプの2人目の妻。先夫との間にフリッツをもうけたが死別。
- セレスティーネ・トゥルクサ ブラームスの家政婦。1887年41歳の時、54歳のブラームスの面倒を見始め、最期を看取った人。文筆家の未亡人とされている。
男性の平均寿命が40代半ばだった時代、いわゆる未亡人が発生する確率は現代よりも高かったと思われる。
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