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2019年12月19日 (木)

影武者

有力な大名や武将などの戦国時代の重要人物は、とかく命の危険にさらされていた。戦場でなくても厄介な暗殺者が暗躍していたから、万が一に備えて偽者が用意されている。人物の重要度が高いほど影武者の数も増えたという。

作曲家クララ・シューマンの作品一覧を見ていると「カール・チェルニー:ピアノ大練習曲op500より指の練習とエチュード」という作品がある。1880年の出版だ。正確に申せば作曲ではなく、選編集という立場だから作品番号は付いていない。例によって音楽之友社刊行の「ブラームス回想録集」第3巻43ページで、クララの四女オイゲーニエが、この練習曲集の成立に言及している。

長女マリエと四女オイゲーニエが、初心者向けのレクチャで母の代講を務めることになったとき、これにおおいに関心を示したブラームスが2人に贈ったのがカール・チェルニーの「理論的実践的ピアノフォルテ演奏法」op500全3巻だった。この中に効果的な学習に寄与する曲を発見し、そればかりを抜き出して選集にするというアイデアが持ち上がった。出版元に同意を求めると「クララ先生がお出しになるなら」という返事だった。

当の本人クララは趣旨には賛同したものの、時間が無かった。これを見かねたブラームスは、実際の作業をマリエがするなら大いに手伝うという提案をした。それをクララの名前で出版すればいいというアイデアだ。これにクララも同意し、さっそく編集が始まった。注意深い校訂をブラームスが担当したらしい。最終原稿をクララが校閲して出版されたのが、先の「カール・チェルニー:ピアノ大練習曲op500より指の練習とエチュード」だったというわけだ。

クララの名前になってはいるが、実際は長女マリエが引き受け、内容はブラームスの全面的なバックアップで完成したということだ。つまりブラームスはクララの影武者ということになる。やがてこれが、ブラームスの「ピアノのための51のエチュード」WoO6に繋がって行く。

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