賛辞
シューマンがブラームスを発見した喜びが、名高い論文「新しい道」に反映していることは有名だ。あるいは出会いの日以降のシューマン夫妻の日記はブラームスの記事で埋まっているし、シューマンの遺児もその様子を証言している。
さらに別な系統の証拠もある。それはシューマンからヨアヒムに送った手紙だ。周知の通り、ブラームスはデュッセルドルフのシューマン邸を訪れるにあたってヨアヒムからの紹介状を持参した。形の上ではヨアヒムの紹介により訪問したのだ。だからシューマンはその礼をヨアヒムに書き送る。「よくぞこいつを紹介してくれた」ということだ。「もしもう少し若ければ多韻律の詩を書いただろう」とブラームスと出会えた喜びを表現している。文学を志しただけのことはある。
さらに印象的なフレーズがある。「彼は40時間で地球の周りに輪を描ける男だ」というものだ。オリジナルのドイツ語がどういうものかわからないが、読めば読むほど魅力的な表現だ。
現在聴くことのできるブラームス作品のホンの数分の一の作品を聴いただけでこの熱狂ぶりだ。
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