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2019年12月21日 (土)

危険な贈り物

ロベルト・シューマンが没した翌年のことだから1857年である。5月末に一週間デトモルトに滞在し何回か宮廷元帥邸でピアノ演奏を披露した。つまり就職試験である。結果は上々で、英国に演奏旅行することになったクララの代役として、ブラームスがデトモルト宮廷の女性2人にピアノを教授することになった。ブラームス生まれて初めての就職であった。年間に3ヶ月という宮廷勤務が1859年まで続くことになる。

ブラームスがピアノを教えた2人のうちの1人がデトモルト宮廷公女のフリーデリケだった。彼女は就職試験演奏でブラームスがバッハを弾いたことを覚えていたのだろう。翌1858年のクリスマスプレゼントとしてバッハ全集6巻をブラームスに贈った。1855年のクリスマスには、クララから第一巻を贈られている。ブラームスの日ごろの言動に「バッハ好き」がにじみ出ていたのだろう。でなければ親しい女性2人が相次いでブラームスへの贈り物としてバッハ全集を選ぶはずが無い。

ブラームスはその年の暮、クララに宛てた手紙の中で、バッハ全集6巻をもらったが、既に持っている分との重複が起きたと伝えている。

カルベックたち後世のブラームスの研究家によってこの6巻の贈り物が「Danaer Geschenke」と呼ばれているのだ。その「ダナエア ゲシェンケ」の訳語こそが本日のお題「危険な贈り物」なのである。手元の辞書では、「危険な贈り物」の代表例ととして「トロイの木馬」を挙げている。あれこれと書物を調べたが、フリーデリケから贈られた6巻が何故「危険な贈り物」と呼ばれているのか明確な記述にはたどり着けなかった。

想像で補うことにする。

この贈り物がブラームスの内なる「バッハラブ」に火をつけたということではあるまいか。この贈り物をキッカケに生涯にわたって続くブラームスのバッハ研究が緒に着いたということだろう。その逆説的な表現が「危険な贈り物」なのだと思う。単にクリスマスプレゼントの異名だったら少しがっかりである。

実を言うと「ブラームスの辞書」は、本もブログも誰かの「ブラームスラブ」に火を点けたいと願うものである。どこかの誰かにとっての「危険な贈り物」になることを密かに期待している。

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