令和百人一首13
【025】和泉式部
寝る人を起こすともなき埋火を見つつはかなく明かす夜なよな
【026】赤染衛門
踏めば惜し踏までば行かむ方もなし心尽くしの山桜かな
【コメント】和歌のクララ・シューマンと位置付けたい和泉式部。勅撰入集は女流最高の245首。「寝る人」は「ぬるひと」と読む。「人を起こす」と「火を熾す」が掛けられている。人とは恋人なのかとも思うけれど、埋火(うずみび)という小道具のせいか、燃え盛るものは感じにくい。彼女の一般の印象よりは渋いところに惹かれて採用した。赤染衛門は、和泉式部の歌友達。彼女とて勅撰入集97首を数えるひとかどの歌人。花をめぐる葛藤が、「心尽くしの」の一言にフォーカスされる様は見事。強いて現代語にするなら「やきもきさせる」程度の意味。「歌友達歌合せ」である。
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