疫病退散奉納
世の中、ますます委縮してきた。新型コロナウイルスの話だ。オリンピックの延期も決まりいよいよ閉塞してきている。都市封鎖の現実味が重くのしかかる。ブログ「ブラームスの辞書」では注意深くコロナの話題を避けてきたが、そうも参らぬと本日初めて話題にする。
疫病退散を願ってお叱り覚悟のオリジナル和歌集を奉納することとする。そもそも昨今の騒ぎは、世が世なら国中の僧侶をかき集めて、加持祈祷をさせるレベルだ。神も仏も、いやいやイエスさまもマリアさまも総動員がいるはずだ。私も座視できぬ。
- 来し方の六十年の長きかな世にも人にも消せぬ縁あり
- 六十の春にぞこころなき病まだ見ぬ後の世々に伝へむ
- 鳴きそびれまだ声聞かぬ鶯はころな憂しとて谷に籠もれる
- 世の病みを照らす心の拠りどころなりとて花の灯りをぞ待つ
- けふや我明日は家族か知らねども笑ふ我家をころなよくらむ
- 縦ならば目にもさやなるころなよけ荒き神々心して読め
- 花のころ名のみと春は添ひかねて声だに鎮む四方の営み
- 咲く花を神酒はころなと思し召す宴まばらなる花の下影
- 家々のふところなべて寒からし野辺のかまどに立つ煙無し
- まじないになるやならぬや試みにコロナの麦酒拝みてぞ飲む
- 毒消しの験と麦酒飲み干してこころなぐさむこの夕べかも
- 雛仕舞い遅れがちなる我家かなころな故にとむべも言ひけり
- 久方のころなに心砕くとも知恵の緒きらり卒業の子ら
- 白まゆみ家居する日の朝じめりころなよくとて香焚きにけり
- 夕気配こころなしにか暮れを急ぎなほ道の辺の人ぞ稀なる
- 秋来れば集ふ手筈の神無月ころな出雲と思いとどまれ
- 時は今大和島根を守るころ勿来の関を閉じて固めよ
- こぬ人をろくに松ともなき身かなやかぬ藻塩にめも小慣れつつ
- 物の名に既に籠めしか友則のしづこころなく花の散るとは
- 夕されば禊ぞ夏と知るこころならの小川に風そよぐとも
- 春の野にすみれ摘みにと歩み出てころなの峠踏みや越えまし
- きりぎりす鳴くさ筵は無けれどもころなころなと人ぞ鳴くなる
- 東風吹きて匂ひ起こせし梅の花時ぞ過ぐるところな広めそ
- 春過ぎて夏来るまでと祈るかなころな干すてふ神に仏に
- 玉鉾の道に子供の跡絶えて春まだ寒くころな討つなり
- 時を経て祟るころなる滝川の割れてや末も逢はで過ぐさむ
- 乙女をば留むばかりの天津風ころなの裳裾閉じてこそみめ
- 経も無く緯さへ見えぬ毛色かなころなたつとて吹く春嵐
- 山は裂け海は浅せなむころなるも流行り病に心閉ざすな
- 佐保姫の去るとも聞かぬ竜田川ころなをぞ絶て千早振る神
- 足引きのやまいの仕業憎むとも人のこころなさても忘れそ
- 切り貼りの歌にころなを閉じ込めて幣と手向けむ護れ神たち
願をかける以上、半端な数では聞き届けてもらえまいが百首に届かなかった。信心が足りてない。その代わり全てのお歌にコロナを刷り込んでおいた。「物の名」「折句」を一部含む。あるいはいくつか本歌取り。割と真剣にぞありける。
おっと、こちらはお神酒だ。
« 令和百人一首45 | トップページ | 西行没後830年 »
コメント