令和百人一首43
【085】荷田春満
見る書は残り多くも年暮れて我がよ更け行く窓の灯
【086】本居宣長
朝夕に物食うほども傍らに広げ置きてぞ書は読むべき
【コメント】荷田春満は「かだのあずままろ」と読む。歴史上人物難読コンクールの上位入賞は間違いあるまい。国学四天王の一人。万葉集注釈の泰斗。賀茂真淵の師匠としても知られている。本作第四句「我がよ更け行く」は、「夜が更け行く」と「自分の残り時間が尽きること」が掛けられ「読みたい本はまだまだ多いのに」と嘆く。淡々とした詠みっぷりながら身につまされるとはこのことだ。書籍ばかりかCDでも同じことが起きている。本居宣長は、契沖と賀茂真淵を継承した国学の完成者。「古事記伝」「源氏物語玉の小櫛」などに結実した。「もののあはれ」こそ日本文学の本質だと結論付けた。そのような大学者が食事の時間も惜しんで本を読みなさいと諭す。係助詞「ぞ」でさりげなく強調することも忘れていない。
「読書礼賛」歌合せである。
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