令和百人一首36
【071】大内政弘
野辺よりも思へば深きあはれかな移す虫籠の夕暮の声
【072】北条氏康
雪折の竹の下道踏み分けて直ぐなる跡を世々に知らせむ
【コメント】弟8クールいよいよ戦国時代に入る。大内政弘は周防の戦国大名だ。芸術に造詣が深く。応仁の乱で荒廃した京都から、僧侶、貴族、芸術家を山口に招いた。069宗祇との親交は特に名高い。まさかとは思うが九条良経「鳴く蝉の羽に置く露に秋かけて木陰涼しき夕暮の声」が脳裏にあったとするならものすごい着眼だ。さらに加えて自然界で鳴いている虫よりも籠にとらわれている虫の方があわれが深いと指摘して見せる新機軸がまばゆい。
片や小田原北条の総帥氏康だ。「雪折の竹の下道」とはさすがの言い回し。「直ぐなる」は「すぐなる」とよみ「直なる跡」で「正しい道」と言う意味。後鳥羽院の「奥山のおどろが下を踏み分けて道ある世ぞと人に知らせむ」が念頭にあったとしたら只者ではあるまい。後鳥羽院のいう「道ある世」とは、反鎌倉幕府の意思が反映している。いわば「承久の変宣戦布告ソング」だからだ。ならば氏康はアンチ織田または豊臣でなければならぬ。偶然のはずはない。
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